ー参考文献(ほぼパクリ)ー
洗脳護身術 苫米地英人
【洗脳のメカニズム】
宗教の信者は、教祖のことを思い浮かべると恍惚とした表情を浮かべ、まるで神の祝福を受けているかのような幸福感に包まれるという。
逆に、他者が教祖を悪し様に罵るところをみたら、攻撃性を剥き出し烈火の如く怒る。
前述の症状は深い洗脳を受けている証拠であり、そのメカニズムを理解するためには、
- 変性意識
- 内部表現
- 恒常性維持機能(ホメオスタシス)
- アンカー&トリガー
の最低限の知識を押さえておく必要がある。
まず、「変性意識」について解説する。
変性意識とは、臨場感を置いている世界が、現実世界ではなく仮想世界にある状態のことだ。
厳密には、現実世界の意識が完全になくなることはないので、仮想世界に意識を傾倒している状態という表現がふさわしいだろう。
洗脳には、必ず変性意識が介入している。
洗脳を受けると、仮想世界と現実世界の境界線を正しく認識できず、仮想世界にある意識を現実世界だと誤認してしまう状態が長期的に継続する。
たとえば、映画やドラマなどのフィクションの世界に没入して臨場感を味わっていたとする。
鑑賞中はどれだけ物語の世界観に浸っていたとしても、通常の場合は、見終わって余韻から抜け出すと、現実世界に引き戻される。
この時もし、フィクションの世界の臨場感が抜けないのであれば、洗脳を受けている。
洗脳とは、術者の創り上げた仮想世界に被験者を誘い、長期的に束縛する行為と言い換えることもできるだろう。
被験者にとっては、その世界が現実なので、容易には認知の歪みを解消できないのが洗脳の厄介なところだ。
次は、「内部表現」について解説する。
内部表現とは、個人の脳内と心が認識している世界と自我を指す言葉だ。
外界を視覚で認識すると、大脳皮質の視覚情報の処理に関連する脳部位が活性化し、その結果が前頭葉で認識される。
この際に介在している全ての情報状態のことを内部表現という。
無意識、意識を問わず、脳内の物理レベルから心理レベルを包摂した外界の表現を指す。
外界との情報を常に連絡しながら情報状態がリアルタイムにアップデートされていく。
進化の過程で内部表現が複雑に発達したことも、人が洗脳を受けてしまう原因のひとつだ。
次は、「恒常性維持機能(ホメオスタシス)」について解説する。
恒常性維持機能とは、呼吸や心拍などのように、外界がたえず変化していたとしても、生体の安定的な状態を維持しようとする生得的な傾向のことだ。
走ると呼吸や心拍が速くなることも、より多くのエネルギーを身体中に巡らせるための恒常性維持機能が働いているからだ。
季節や気候の変化に合わせて我々を取り巻く環境を適切に処理するのも、生体が外界の状態に適応し、健康体を維持するよう働いているからだ。
そして、人間は進化の結果として、恒常性維持機能が物理空間から情報空間に拡張している。
現実世界のみならず、仮想世界にも恒常性維持機能が働くよう脳が進化しているのだ。
人間が容易に洗脳されてしまうのは、複雑多岐に進化した高等な生物である所以だろう。
次は、「アンカー&トリガー」について解説する。
「アンカー」とは、日本語では「錨(いかり)」と翻訳されるが、脳内に埋め込まれた特定の心理状態もしくは体感状態を意味する。
その心理状態を呼び起こすための、「引き金」の役割をもつものが「トリガー」だ。
どちらも、変性意識状態の人を対象に埋め込むことが大前提である。
アンカー&トリガーを利用すれば、他者の内部表現を書き換えることも可能になる。
アンカーとして用いる対象は、恐怖体験や快楽体験といった強い情動が結びついた記憶だ。
かの有名なオウム真理教の場合は、依存性のある違法薬物やヨガなどから得られる快楽をアンカー、「尊師」という言葉をトリガーとして紐付け、信者を意のままに操作していたという。
【洗脳の方法】
- 変性意識
- 内部表現
- 恒常性維持機能(ホメオスタシス)
- アンカー&トリガー
の基礎知識を理解してもらったので、組み合わせて解説していく。
まずは、恒常性維持機能と内部表現を組み合わせて考える。
恒常性維持機能を復習しよう。
もともと恒常性維持機能とは、外界の情報を全身の神経が認識して、脳に伝達される。
それに適応して脳から指令が下り、身体に影響を及ぼすものだ。
外界の気温が上がると冷却装置の機能が働き発汗する現象も、恒常性維持機能のメカニズムで説明できる。
脳内で気温が上がったという内部表現のアップデートに対応した、生体を望ましい状態に保つための内部表現のアップデートによって、整合的に発汗するのだ。
そして、内部表現は、仮想世界でも成立する。
映画やドラマなどで、衝撃的なシーンを観たと同時に、心にも衝撃が走る経験は、誰もがしているだろう。
従って、人は、仮想世界に対しても恒常性維持機能を働かせることがわかる。
次は、内部表現と恒常性維持機能の概念に変性意識を組み合わせて考えてみる。
変性意識とは、内部表現と恒常性維持機能が仮想世界に傾倒している状態と言い換えることができる。
恒常性維持機能は、同時に複数の世界に働かせることができるので、現実世界での生体維持は問題なく行われている状態だ。
最低限の生活に支障をきたすレベルまで恒常性維持機能のフィードバックが傾倒している状態を、トランス状態という。
洗脳とは、何かしらの方法で構築された変性意識状態によって、術者が構築した仮想世界と恒常性維持機能とのフィードバックが現実世界よりも肥大化した状態といえる。
次に、アンカー&トリガーを絡めて解説していく。
これらを埋め込むには、被験者が変性意識状態に置かれている必要がある。
その状態で、被験者の過去の快楽体験を想起させるのだが、一つ注意点がある。
明示で記憶を引き出すのではなく、暗示で記憶を引き出さなければいけない。
たとえば、「人生で楽しかったことを思い出してください」と言うような安直なアプローチでは失敗するということだ。
次はトリガーの埋め込みだが、アンカー埋め込みの時と同じように暗示で行うのが肝心だ。
その際、具体的な言葉やイメージを植え付けるのだが、対となるアンカーを勘繰られないように、さりげなく埋め込むと良いだろう。
アンカー&トリガーの埋め込みが成功したら、支配権を獲得したようなものだ。
トリガーを利用してアンカーを引き出し、意のままに被験者を操作することができる。
ゲシュタルトを覆し、価値観を改竄することも容易になるだろう。
洗脳技術は使い方次第では、人生がイージーゲームになる可能性も秘めている。
実際に、社会で成功している人は、大なり小なり洗脳技術を駆使している。
洗脳護身術を熟達させれば、自己実現も容易になるだろう。
あらゆる自己啓発が必要なくなるといっても過言ではない。
もちろん、この記事を読むだけでは不十分なので、洗脳の方法論を情報収集していく必要がある。
具体的な方法について書くと非常に長くなるので、ここで筆を置く。