フロム構文
「出生」──それは、還らざる虚無の淵より、いかに抗おうとも強制的に連れ戻される悲劇の母胎である。 無垢なる魂が、「人生の拒否権」という最後の救済を、親という存在の無自覚なる掌によって断ち切られ、「環境」「能力」「人格」「性別」「容姿」「親の文…
【生と死】 「出生」とは、「人生の残酷さ」を軽視した「親」により「人生の拒否権」という名の『無のままでいる救済』を断絶された上、 「環境」 「能力」 「人格」 「性別」 「容姿」 「親の文化資本」 ___これら全ての『選択自由』までもを剥奪され、つい…
月魄(げっぱく)の降る夜。 咀嚼できない言葉たちが、 貴方の手の中で、未遂の果実として爆ぜる。 「刃」と「喉」は惹かれ合う。 皮膚の下に純粋な「動悸」を埋め込んだ。 猩紅(しょうこう)の大海。 道を束ねる野放図。 眼差しは、槍衾(やりぶすま)の方…
稀代のストーリー・テラー、「貴志祐介」は、言葉の網目に静かに佇み、決して掴みどころを許さない。彼の小説は、“読む”のではない。“沈潜するものだ”──人間の心の底__「業」の最奥へ。 彼の文体は、気取りの美を拒む。 しかしその抑制のなかにひそむ激情…
内奥を欠きし人々の貌(かお)は、虚空の裂け目に過ぎぬ。 されどその虚無は無垢ではない。偽装された欺瞞、飽食した無意志の鞘(さや)であり、光を奪われた魂の幽閉である。 思考を放棄したのではない。思考の奔流に抗えぬ愚かさを知りながら、敢えて静寂…
ドストエフスキー、それは若年の私にとって全身で打ち震えんほどの、嫌悪の対象であった。 それは、事物を眺める五感に染み渡る、涙を堪えての大袈裟な自己肯定。 紙面にわたって通奏する自己愛の肌触り。 極めつけは、「神に捧げる」などという拡張自我のエ…
三島由紀夫のパロディ。
竜胤の雫。沛然たる血の雨が、匂い立つ獣の眠れない夜を誘う。すべての膨れ足は一途な嘘から始まり、うねり狂う波状攻撃となった。戟叉の一撃。物悲しい絹を纏う首の無い白衣の聖像よ。プラーナの苗床にへばりつく死神が俺に授けた。科学が実益をもたらせど…
死体が皮を研いで歩いている。だが上から下睨め。もともと殺し殺された自我なのだから。緩慢なる飛び降り自殺にすら、長くて深い希望があるのだから。死は絶え間ない衝突となる。劣等感を拘泥するものは、雁字搦めの牢獄だ。良心とは何か。高貴な魂とは。激…
不知が群がり未知と化す。 犯す徒花は、犯される空(くう)とならん。 爆ぜる恋歌、、静謐たる藍色。 赦す視点と交錯する彩。 夜弦の月と災厄。 絶えず駆動する精神。 霞がかった文字盤に紙背の威光。 臨終(いまわ)の際の雄叫び。 同情する夢。。シュプレ…
捏造する記憶。 爛れつづける虚偽。 根こそぎ掻っさらえ。 姿形とは、捉えようのないものだ。 失われる者どもよ。輪郭を取り戻せ。 打たれてなおも、朽ちぬ牙。 あたり構わずの咆哮。 まばゆき常闇を喰らえ。烈火に震えろ。 浮世などは所詮、盲点の寄り合わ…
悪とは何か。弱さから生じるすべてのものだ。 (ニーチェ) 【大衆の生態】 【大衆の良心】 純粋な「大衆」の中に、 「良心」という概念はない。 【犯罪者の良心】 【同情の害悪性】 【反逆の強者】 『参考文献』 【大衆の生態】 「大衆」とは、ひとりでは右往…
『』主導者 「」主人公 禁忌たる鬼狩りの刀身。 共鳴する幼き眼目。 因果律の波及する枢軸の女神へ。 「倦み慣れんこと童は。」 先天の宇宙より出し、輪廻の制空。 生殺の心得を握りし不条理の苦悩は、撞着の狭間で傲慢に拘泥する。 柳眉を逆立てし獰悪なる…
屈折の波動は、底辺を這いずる。 虚言の流儀は滅裂の自縛となる。 入魂を騙る敵対者。人倫に背くのだ。 おお、女豹の戦。 「尊き御髪を千切り合え。絡め取られてゆくでない。」 落伍者は、時代の洗礼を跳ね除け、宿敵を寵愛し、浅ましき誤謬を重ねる。 欺瞞…
象牙の塔より出でし、群青の架け橋。 危うき災禍の逃れ。 賛美の言説に胸を打ち、崇高な思想を形作る。 脳裏の散文的体系は、一家言を有機体に成熟させ、独善に閉塞する。 偶発なる詩物は、真髄を極めてはならない。 空虚な花弁を愛でるのだ。 唯一の真実で…
先人の知恵は身を結ぶだろう。 「清濁なる水の子よ、仮初の名を放棄せよ。」 鬱屈した不条理が手招く。 すべての重積を背負う覚悟は、不世出の神童すらも凌駕し、克己の上に胡座をかき、偽りの神を自縄の蟻地獄に誘う。 涙など、とうに朽ちた。 みなぎる暗黙…