2025-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『死と生の入れ子』 弱化ロープ

月魄(げっぱく)の降る夜。 咀嚼できない言葉たちが、 貴方の手の中で、未遂の果実として爆ぜる。 「刃」と「喉」は惹かれ合う。 皮膚の下に純粋な「動悸」を埋め込んだ。 猩紅(しょうこう)の大海。 道を束ねる野放図。 眼差しは、槍衾(やりぶすま)の方…

人格で紡ぐ、神の御業__。なぜ、貴志祐介の小説は『傑出した人文学の実用書』なのか?

稀代のストーリー・テラー、「貴志祐介」は、言葉の網目に静かに佇み、決して掴みどころを許さない。彼の小説は、“読む”のではない。“沈潜するものだ”──人間の心の底__「業」の最奥へ。 彼の文体は、気取りの美を拒む。 しかしその抑制のなかにひそむ激情…

物の視点詩12。『夜を抱える仮宿』。クイズ形式で愉しむ詩の読解シリーズ

とある物の気持ちで書いた詩。 答えは、記事末。難易度★★★★☆ 哲学的。。。 欲しいままに何でも。俺を通した先にあるものが、まるで当たり前かのように。確かに存在する。外質的、そして物質的なものとして或るもの。期待の目が裏切るのは、ただ、俺の不手際…

物の視点詩11。『温める嫉妬』。クイズ形式で愉しむ詩の読解シリーズ

とある物の気持ちで書いた詩。 答えは、記事末。難易度★★★★☆ 哲学的。。。色とりどりの葉出なもの。そんなものに熱を浴びせるたびに、わたしの地味は体現する。そんな対極の不思議が、この場所に殉ずる家と人にとって、自然でしかないこと。私が君の望むもの…

物の視点詩10。『異常』クイズ形式で愉しむ詩の読解シリーズ

とある物の気持ちで書いた詩。 答えは、記事末。 難易度★★★☆☆ 感情的。。。 人と会うときは、けっして安らかな時じゃない。わたしの意義には、人の不幸が通じてる。人類に病なんてなければ、私の正常さが、むしろ異常だったのに。。わたしは、人類__そして…

物の視点詩9。『前後は虚ろ』。クイズ形式で愉しむ詩の読解シリーズ

とある物の気持ちで書いた詩。 答えは記事末。 難易度★★★★★哲学的。。。 前に進んでも、進まない。後退しても進むだけ。気まぐれにズレれる戯れの圧。軋んで奏でる哀愁は、ふさわしく風に溶けるだけ。涼しい顔した少年が、踏みにじりながら縋り付く。宙ぶら…

物の視点詩8。『リズミカルな目覚め』。クイズ形式で愉しむ詩の読解シリーズ

とある物の気持ちで書いた詩。 答えは記事末。 難易度★★☆☆☆ 感情的。。。掴まれることでしか価値がない。伴う痛み。支えになる喜びと、無力感の揺れ動き。強く掴まれるたびに、存在価値を発揮する。喜悦が受動的なこと。痛む時が、予測できてしまうこと。支…

物の視点詩7。『交わらない目線』。クイズ形式で愉しむ詩の読解シリーズ

とある物の気持ちで書いた詩。 答えは記事末。 難易度★★★★★ 哲学的。。。直視しているようで、直視しないようで。凝視することも、できやしない。直視を拒む副作用。守るためだけの存在。人は、触れたい幻影に触れるつもりで、俺に触れている。幻影に直接触…

物の視点詩6。『手の中の距離』。クイズ形式で愉しむ詩の読解シリーズ

とある物の気持ちで書いた詩。 答えは記事末。 難易度★★★☆☆ 哲学的。。。俺が役目をこなす時、鏡の中で見つめ返す。鏡が曇って見えない時は、俺の水流攻撃で晴らすのみ。いつものこと。だが俺は、奴に操られているだけ。主体の欲望は、ズレ続ける。対象a。俺…

物の視点詩5。『反復と分裂』。クイズ形式で愉しむ詩の読解シリーズ

とある物の気持ちで書いた詩。 答えは記事末。 難易度★★★★☆ 哲学的。。。反復する、死と生。向かい入れた欲望は、俺じゃないどこかに向いている。俺は、欲望の通過点であり、欲望対象そのものではない。体性感覚が分裂するたびに、自我と欲望が分裂し、俺じ…

物の視点詩4。『片耳でも』。クイズ形式で愉しむ詩の読解シリーズ

とある物の気持ちで書いた詩。 答えは記事末。 難易度★★☆☆☆ 哲学的。。。心の源は揺れていないのに、私が初めて揺れている。洞穴だって揺れている。痛め続けた先には、戻らない聴き方がある。張り裂けたアド・バルーンのよう。絶えず、外界のリズムと、あな…

物の視点詩3。『期待はずれの視線』。クイズ形式で愉しむ詩の読解シリーズ

とある物の気持ちで書いた詩。 答えは記事末。 難易度★★★★★ 感情的。。。極寒に包まれているから、お前のぬくもりが尊い。俺を強く求めているわけじゃないのに、僕を掴む手に熱が宿る。俺は求められているものを助けているだけ。それがなくなれば、おれは捨…

物の視点詩2。『変則の出入り口』。クイズ形式で愉しむ詩の読解シリーズ

とある物の気持ちで書いた詩。 答えは記事末。 難易度★★☆☆☆ 哲学的。。。入口と出口が重なっている。私の役割は、入口の出口を無くすこと。出口の入り口も無くすけど。私が役割を果たさない時は、出口が別の入り口に繋がれている。私は、出入り口の時間を操…

物の視点詩1。『生け贄の泡沫』。クイズ形式で愉しむ詩の読解シリーズ

とある物の気持ちで書いた詩。 答えは記事末。 難易度★★★★☆ 哲学的。。。かつては汚くもなんともなかったものの残滓が、汚穢となって漂着する。一度は、押し付けられる役目だとしても、すぐに流されていくもの。人間だって同じ。低層に汚れ仕事が巡っては、…

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沈黙の幽なる群。「大衆」___想念を宿さぬ器とは。

内奥を欠きし人々の貌(かお)は、虚空の裂け目に過ぎぬ。 されどその虚無は無垢ではない。偽装された欺瞞、飽食した無意志の鞘(さや)であり、光を奪われた魂の幽閉である。 思考を放棄したのではない。思考の奔流に抗えぬ愚かさを知りながら、敢えて静寂…

抉り出す、紙面の神性。やがて自尊を呑み込む者のルサンチマン

ドストエフスキー、それは若年の私にとって全身で打ち震えんほどの、嫌悪の対象であった。 それは、事物を眺める五感に染み渡る、涙を堪えての大袈裟な自己肯定。 紙面にわたって通奏する自己愛の肌触り。 極めつけは、「神に捧げる」などという拡張自我のエ…

刃で斬る、品行の理。やがて善意思を貫く「業」___『道徳的マゾヒズム』の発露。

三島由紀夫のパロディ。